ゴールポストの更新:突然涙が出た日

 

同居人が流行り病に感染した。

症状が出始めてから、5日目になる。本人の調子はだいぶ良くなっているが、病院から告げられた療養期間は残り倍近くある。

同居している以上隔離に限界はある、と思いつつ、いろいろと試している。トイレを分ける、こまめに消毒・換気をする。食事は部屋前へ置いて会わない。ゴミは部屋管理。つい先日ようやく高熱が落ち着き、入浴したが、それももちろん最後。洗濯も別にしている。

そのかいあってか、自分の体調はすこぶる良い。熱は全くないし、朝晩のエアコンによる目の乾きくらい。それが心配なので、目やのどを潤わせるように一応の努力をする。換気はするが、冷えないように注意する。毎日何度か、体温を定期的に測っている。特に気になるような体温になった日はない。

保健所がパンクしているという。そうだろう。本人とやり取りができる機会自体が少ないので良く分からないが、「保健所から電話がかかってくる」ということはおそらくもうないのだろう。今は検査もできなくなっているといい、症状がある同居家族などは、診断なしで「陽性」と判断してよいという動きもあるそうだ。よくわからない。

とっくにこの国のシステムは崩壊していた。

症状のある人を特定して、適切に診察を受けて、治療することはできないのだろうか。さまざまな症状に苦しむ姿を見ていると、「ただの風邪」とは思わないが、きっともう少しいい対応があると思いたい。

今のところ症状の出ていない自分は、どういう気持ちでいたらいいのだろう。「濃厚接触者」の認定は受けていない。その判断さえも、私がするのだろうか。cocoaの通知も来ない。良く分からない。

 

誰も正解を知らないので、同じ状況の中でも判断が分かれる。

「念のため」「一応」長く自粛すべきという人がいる。

症状がなく、大丈夫なのであれば、別に日常生活に戻ってもよいという人がいる。

その判断を、皆が納得してくれないかもしれない。

「自己判断」を、社会は受け入れることが出来ない。

 

もうすでにいろいろな所に迷惑をかけている。今後もしばらく全てキャンセルになりそうだ。感染者は悪くない。本人が回復するまで自分も動かないことに文句もない。

ただ、「自粛」「要請」「自己判断」「自己責任」の重さを、本当に理解している人はいるのだろうか。

わたしは2月に入れば、少し動き出せる予定だった。ただ、「念のため」もう少し休むべきという人がいる。「あと少し」「あと少し」「あと○日我慢しよう」という声掛け。数字は毎日変わらない。毎日少しずつ、ゴールポストが遠ざかる。

 

「もうがんばりません」

 

涙が出ていた。